前川國男自邸 | 築紡|根來宏典

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2017年9月11日(月)

前川國男自邸

現在、茨城県つくば市で実施設計中の住宅があります。

 

建主さんの要望は、農家のような佇まい。そして平屋。
岩手県出身の奥さま、そして岩手の大学で知り合ったご夫婦です。
岩手の伝統的な農家といえば『南部曲り家』でしょうか、、、

 

曲り家のことは、もちろんご夫婦も知っていて、
お話ししたところ「そんな家が建てられると良いですね~」と(笑)

曲り家とは、母屋と馬屋がL字型に一体化された形式の家屋のことですね。
もちろん馬屋を設けるわけではありませんが、
L字型のプランをした伸び伸びとした平屋建ての住宅にしようと話は進みました。

 

そういった共通認識をもって土地探しを一緒に開始。それが今から4年以上前。その後、ご主人の転職があり中断。
そして再開。つくば市で平屋の「曲り家」を建てることを前提とした土地を探し、購入。設計も進み、夢が現実へと近づいてまいりました。

さて前置きが長くなりましたが、その建主さんが「気になっている住宅があり、参考にできませんか?」と、、、

 

それが何と!前川國男(1905-1986)の自邸。

ル・コルビュジェやアントニン・レーモンドの元で学び、

日本の建築界をリードした人物です。

 

その方の自邸を参考に、、、と言われると、私はテンションが上がります!
もちろんプレシャーも掛かりますが、、、
では、その自邸を実際に見に行きましょうとなったわけです。

 

建設は戦時体制下、建築資材の入手が困難な時代。
建坪100㎡以下という制限もありました。
吹抜と大開口部が印象的で、豊かな空間を実現すべく工夫が随所に見られます。

 

我々が進めている住宅は、平屋建てですので、吹抜はありません。
曲り家の話もそうなのですが、単なる形の模倣ではなく、それらに影響を受けつつ、思想を受け継ぎながら、
現在的な、そしてその家族にあった住まいが実現すると良いなと思っています。