「Tropical Architect」と呼ばれるジェフリー・バワ(1919-2003)。
先日お話ししたアマン・リゾートの創設者、エイドリアン・ゼッカに
大きな影響を与えた、スリランカ、コロンボの建築家。
今ではリゾートホテルの定番となっているインフィニティプールも
元々は、バワのアイデア。
インフィニティプールとは、プールのエッジの存在を消し、
背景の景色とボーダーレスに一体化して見える手法を用いたプールのことです。
「Tropical Architect」は、直訳すると「熱帯建築家」であり、
南国チックで陽気な気分になってしまいますが、
概念としての「Tropical」は「植民地」と同義だそうです。
トロピカルゾーン(熱帯地域)に位置している南アジア、東南アジア諸国は、
ヨーロッパ植民地時代があり、支配者と植民地との関係といったネガティブな一面があることも忘れてはいけないようです。
アジアンリゾートの原型となっているバワ建築。
空、海、山、岩、樹々、石といった自然と一体化する建築。
ヨーロッパの近代建築とは異なる発想。
現在、日本で進んでいる高気密、高断熱、省エネ住宅とも異なる発想。
外気を遮断するのではなく、外気とつながることの快適性。
日差しを遮る、風を通す、とても単純な原理。
それら工夫によって生まれる空間の陰影、奥行き。
バワ建築のようなあり方があることを、多くの人に知ってもらいたい。
元来の日本建築とも通じるものです。