石の産地を訪れる その5 大谷石でできた建築群/集落 | 築紡|根來宏典

築紡

築紡

loader
ブログ
ブログ

2016年6月21日(火)

石の産地を訪れる その5 大谷石でできた建築群/集落


最後に「大谷石でできた建築群/集落」を紹介します。

集落にある総建物数99棟の内、62棟の大谷石建造物が残っている集落。
塀や外壁のみならず、窓飾り、小庇、屋根も大谷石でできた建築群です。

その中でも、特に異彩を放つ蔵。
大谷石にも色々あり、特に品格の高い「徳次郎石」という石があります。
現在では採掘されなくなった石なのですが、その石で造られた蔵。

こちらが、その蔵の外壁。
味噌や穴の少なさ、肌理の細かさ、変色の無さが分かるかと思います。
故・渡辺明さんも、二期倶楽部を設計する際に見学され、参考にされたそうです。

こちらの蔵を見学するのは、私自身4回目となります。
これまで蔵や周辺は放置され、地震の影響もあり、保存状態がよくありませんでした。
今回訪れて驚いたのは、地場の工務店が買い取り、きちんと整備されていたこと。

そこに買い取った持ち主がいらっしゃり、改修を施し、
大切されている旨のお話などを聞くことができました。
初めて内部を拝見することもできました。幸運です。

周辺の雑草は刈り取られ、その工務店の資材置き場となっておりました。
ちなみに、こちらの建築の構造設計は、木質構造の大家・稲山正弘さんによるもの。
素晴らしい工務店さんと出会い、またこちらの集落に来る楽しみ、目的が増えました。

以上で、深岩石、芦野石、大谷石を巡った「石の産地を訪れる」お話は、お終いです。
今回、思ったことは「何度も足を運ぶこと」の大切さ。
天候、物理的環境、自身の心的状況の違いによって、見え方、感じ方は違ってきます。
一度では、理解できないことも沢山あります。

それは、自身の経験値の違いも大きく影響します。
一度、その素材を用いた設計を経験すると、次の課題が見えてきます。
本当に、その素材が好きかどうかを追及する場ともなります。

根來宏典