根津美術館 弘仁亭・無事庵 | 築紡|根來宏典

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2016年2月18日(木)

根津美術館 弘仁亭・無事庵

先日、根津美術館の庭園を散策してきました。根津美術館の庭園は、都心のど真ん中とは思えないほどの野趣に富んだ空間が広がっています。以前の根津美術館の庭園のお話は、コチラ≫

 

今回訪れた目的は、『弘仁亭・無事庵』の内部を拝見すること。普段は公開していません。大正初期に建てられた茶室で、移築されたもの。弘仁亭は10畳半(入側を含むと14畳半)の広間、無事庵は4畳半の草庵茶室で、廊下(10.5畳の畳の間)を挟み一つの建物として繋がっています。

 

 

 

 

 

こちらは、弘仁亭の濡縁。濡縁の室内側には書院が配置されております。軒が深く、軒の分節の仕方がリズムカル。軒天には割竹が貼られ、躍動感があります。

 

弘仁亭の入口。立派な沓脱石が印象的です。

広間の様子。書院風、真の茶室です。3畳の書院付き上段の間があり、一間床と半間脇床が付設。白檀の曲木による床柱が力強く存在し、書院の火頭窓が洒落ています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

文出机の小口には、螺鈿象嵌の意匠。派手ではありませんが、品を感じます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

床柱の足元の納まり。上段の間への上框は、漆塗り。床の間は、その上框とケンカしないように蹴る込み床。地板の小口に丸みを持たせているところに品を感じます。また畳の小口を表しているところに、くだけた感があり、共感します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらは、無事庵の貴人口。武士時代の茶室ではないので、躙口はありません。飛石を配した露地に導かれます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

掛込天井には煤竹、落天井には網代の構成。

 

 

皮付丸太の床柱に、筍ヅラ。床框は磨き丸太の太鼓落とし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらは水屋のある畳の間から見た様子。右手の高い方は茶道口。左手の低い方は、亭主が座ったまま道具の出し入れができる洞庫です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

只今『超図解でよくわかる建築現場用語 大辞典(仮)』を執筆中。日本建築の用語には、日本独特の歴史や文化が詰まっていて、その意味合いを知ることは楽しいし、現代の住宅設計に活かせることも多い。