陰の存在 @A.GRANDE その6 | 築紡|根來宏典

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2015年11月24日(火)

陰の存在 @A.GRANDE その6

雁行プランになった共用廊下で、その軒天も雁行しております。

 

軒天は、黒く染めた杉板です。
工事段階では「軒天は陰になるので、黒だと木と認識しにくい」とか、、、
天気の悪い日や夜になると「ますます認識できない」のだとか、、、
心配もあったのですが、出来上がってみると、この落ち着いた感じが、とても良い!

 

軒天の重厚感が増すことによって重心(視点)が低くなり、
足元に貼られた芦野石(寅目)に意識が向かい、
間接照明の光に導かれるように、奥へ奥へと誘われます。

 

そんな控えめな存在の軒天の杉板張りですが、
雁行形状や既存の軒形状の取り合いの関係で、
軒天板を貼るのに、かなり手間が掛かったことと思います。

 

職人さんには「よくぞ、ここまで綺麗に納めてくれたな~」と感動した次第です。
これは、かなり腕の良い職人さんだからこそ成せる技。
腕もそうなのだけど、先の先を読むことと、根気が必要だったと思います。
現場監督の江川さん曰く「宮大工レベルの難易度でしたよ」と、苦笑い。

 

今回は陰の存在のような軒天ですが、空間構成的には欠かせない存在ですし、
空間の調和を図る上で、貴重な役割を担ってくれています。