いせさき明治館/黒羽根内科医院旧館(旧今村医院) | 築紡|根來宏典

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2015年10月22日(木)

いせさき明治館/黒羽根内科医院旧館(旧今村医院)


もう一つ、ご案内いただいたのは「いせさき明治館」。

明治末期に建てられた木造洋風医院建築。伊勢崎市指定重要文化財にもなっています。
2002年に中心市街地を100mほど曳家され、現在の地に移転したそうです。
曳家とは、建物をそのままの状態で土台ごと浮かし、
丸太やレールを使って別の場所に移動する工法です。

曳家には2日間の時間を要したのだとか。
その際には、町ぐるみのイベントとして、多くの市民に見守ってもらい、
子供たちにも綱を引っ張ってもらい、文化資源の継承を促したそうです。

和洋折衷の建築で、外は洋風、中は和風といった感じです。
「伊勢崎絣(かすり)」という織物の展示が行われておりました。
養蚕が盛んだった伊勢崎は、絹織物「銘仙(めいせん)」の産地だったそうです。

洋風と和風の空間的切り替えの場としての回廊というか、
今でいうカーテンウォール的な2段構えの構成には、魅了されました。

「この階段は利用できません」ですが、人に利用させなくしつつ、
「いせさきがすり」の飾り物の場所として利用し、素敵な空間演出となっていました。

今回は、私も委員になっている日本建築学会関東支部農村建築専門研究委員会の金井良浩さん(柏井建設)の企画によるもので、その人脈である栗原昭矩さんのお仕事を三つ拝見させていただきました。

栗原さんは、伊勢崎市に設計事務所を構える独立した建築家。
地域の伝統、技術、特性、文化、環境に配慮した設計活動には感銘した次第です。

根來宏典