都市のボイド @旗竿地の白い家 その7 | 築紡|根來宏典

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2014年8月18日(月)

都市のボイド @旗竿地の白い家 その7

2階世帯のLDKに入った時に見えてくる風景。

 

真南に対して部屋が斜めに切り取られ、台形の形状となっております。
窓の先は三角形のお庭に面しております。植栽は植えたばかりなので、まだ低い。

少し育てば、2階からも緑が楽しめるようになります。

 

この三角形の庭は、『都市のボイド』。
建築家同士で「都市のボイド」というと、何となく言いたいことは伝わる用語です。
路地とか、建物と建物との隙間とか、空き地とか、どこにも属さない空間といいましょうか、、、どちらかというと無意識の内に形成されている都市の「余白」や「空虚」ともいえる空間。

 

 

「ボイド」という言葉をウィキペディアで調べると、
「建築的都市において、意識的に創りだされた構造物の存在しない空間のこと」を記されております。
私はこの「意識的に創りつくりだされた」ということが、大切だと思います。
無意識な事象を顕在化させることに創造性を感じるからです。

 

どんな土地でも、そこにしかない魅力は必ずあるはず、見つけられるはず。
それをさらなる魅力として空間的に惹き立てれれば、そこにしかない独自の暮らしが展開されることになります。

 

周囲を建物に囲まれた旗竿地の住宅ですが、この斜め方向だけは平屋建て。しかも南面。
当面、建て替えられることはなさそうとはいえ、いつ建て替えられるかは分かりません。
とはいえ、建物を斜めに切り取ってセットバックさせているので、隣家との圧迫感は軽減されます。
斜向かいの方が、建物同士の距離は稼げるし、隙間からの日射も期待できます。

 

建替え前は、周辺の建物と並行したプランニングだったので、1階には殆ど光が差し込まず、2階は南東隣家に向けてカーテン閉めっぱなしの暮らしをしておりました。
こちらのボイドは、光と風を取り入れる目的とともに、
自然や近隣との関係をコントロールしつつ、旗竿地に開放性をもたらす空間です。

 

1階世帯に面したデッキとお庭が見降ろせます。
この三角形の庭(ボイド)は、周辺隣家との関係性に調和をもたらすだけでなく、

両世帯が共に一つの土地に暮らしているという

意識的な繋がりにも一役買っっております。