藤沢市の南市民図書館に行く途中のことです。
茂みの中に『旧近藤邸』の案内がありました・・・。
古民家でも保存していているのかな???と思いながら、
天気も良いし、GW気分だし、少し見学でもしていくかと、足を進めました。
えっ、、、なんだ、明らかな「プレイリースタイル」の住宅じゃないですか!
プレイリースタイル(草原様式)というのは、
建物の高さを抑え、水平線を強調した様式のことで、
そのスタイルを用いた代表的な建築家の名前を挙げると「フランク・ロイド・ライト」。
まさかライトの作品が、こんなところに建っていると聞いたことはなく、
専門家なら誰しも「遠藤新(1889-1951)」の設計だなと思う訳ですが、その通りです。
藤沢市辻堂に建てられた別荘(1925)を、
鵠沼にある藤沢市民会館の脇に移築保存(1981)したとのことです。
国の登録文化財にもなっております。
ワクワクしながら、中を見学させてもらいました。
玄関の土間は「大谷石」。素敵です。
大谷石って、どんな石?ってお話は、コチラ≫
居間兼食堂に設けられた暖炉も大谷石で作られ、とても良い雰囲気。
さて、建築的な話から外れますが、
中は「すかいはーと」というレストランとして活用されております。
4月26日にオープンしたばかりだそうです。
国登録文化財の中で食事って、贅沢で、たいへん嬉しいのですが、
そんなこと許可して良いの?って、思いますよね・・・。
お話を聞いてみると、障害者の方が、自立に向けて働いているのだとか。
障害者の就労支援として、使用料を免除して貸し出しているそうです。
なんと、素敵なお話ではありませんか!
これまでも登録文化財として公開されたきたのですが、
埃や汚れなどで、初めはレストランと使えるとは思えなかったようです・・・。
登録文化財なのでリフォームはもちろん、塗装すらの手を加えてもいけないのだとか。
ここで働く障害者の方々自身が、つま楊枝を使って、隅々まで掃除をしたそうです。
オープンに至るまで、それはそれは大変だったそうです(苦笑)
レストランとしての食事スペースは、「居間兼食堂(上の写真)」と「和室(下の写真)」を活用。両室とも、藤棚が設けられた庭に面しており、
遠藤新ならではの木の桟が組まれた建具から差し込む木漏れ日が美しい。
庭から見た藤棚の様子です。
文化財の中での営業なので、火を使った調理はできないそう。
電子レンジやIHを使える料理限定ですが、メニューは豊富です。
戴いたものは、一番高価な「ハンバーグとからあげ」。コーヒー付きで750円なり!
ちなみに食事をしなくても、建物は見学(無料)できます。
2階のサンルームや和室も見学できます。
近藤邸の紹介は、藤沢市HPより。図面も掲載されております。コチラ≫