日本建築学会教育賞 その1 前文 | 築紡|根來宏典

築紡

築紡

loader
ブログ
ブログ

2014年4月17日(木)

日本建築学会教育賞 その1 前文


昨日『「家づくり学校」日本建築学会教育賞 受賞のご挨拶』をさせていただきましたが、
本日より数回に分けて、家づくり学校の実践と継続的取り組みを紹介いたします。

賞を取ったことを広めたい訳ではなく、その内容を広めたいのです。
受賞の目的は、社会全体でその成果を共有することにあると考えております。
賞を取ったから凄い学校・人という認識ではなく、
その学校の取り組みがどう優れているのかを理解し、
共有していくことは大切なことだと思います。
同じくNPO法人「家づくりの会」が主催している『家づくり大賞』なんかも、
同じ志で取り組んでおります。家づくり大賞については、コチラ≫

家づくり学校の選考過程においては、ヒアリング(2次)審査があり、
審査員の先生の一人が最後に言った言葉が、今も心に響いています。
「このような学校が全国にあると良いですね」と。
全国に「家づくりの会」のような活動、「家づくり学校」のような取り組みが広まると、
日本の住文化は、なお良い方向に向かうことと思います。

本日は、その前文を紹介いたします———————————————–

「家づくり学校」における社会にコミットする設計者養成のための教育プログラム、
その実践と継続的取り組み
      

発足31年を迎えたNPO法人「家づくりの会」は、建築家による良質な家づくりの普及を目的として、様々な活動を行ってきた。さらに2009年より「家づくり学校」という4年制の学校を運営している。

大学を卒業し憧れを抱いて設計の仕事に就いたにもかかわらず、何年かするとこの仕事を肯定的に捉えられない若者が増えている。それは学生時代に描いた夢とはかけ離れ、何をしようにも社会のあまりにも利益追求という現実的な仕組みに絡め取られ、身動き出来ない内容が要求されてしまうからである。そのような世界にいると設計者は、自分がなすべきテーマが何かさえも見えづらくなってしまう。
本来、建築家のあるべき姿としては、フリーランサーとして自由度が保てることである。このような社会から一歩離れて客観的に見る態度は、建築だけでなく社会の未来にとって貴重なはずである。

そこで、大学を卒業して設計事務所にいる人や、工務店で設計の経験を積んでいる人たちを学生として受け入れ、住宅設計における現代のテーマを様々な形で提示していくことで、それに影響を受けて自己のテーマを持ち、自己の物差しを持てる設計者へと育てていくことを目的とした。と同時に、住宅設計で生きることの喜びや勇気を持ちながら、住宅設計者として生きるタフな精神をも育てたいと考えた。

このような学校に相応しい講師として、NPO法人「家づくりの会」の中から、様々な分野に秀でた経験豊かな建築家達が務めている。
—————————————————————————–

根來宏典