これから注目されるであろう若手左官職人三羽烏との左官ワークショップ。
中央が上遠野健吾さん、右手が清水友宏さん、左手が古川元章さんです。
ここでののテーマは『掻き落とし』。
一通りの材料や道具の説明をし、左官材の配給を始めます。
用意された左官材は、ポルトランドセメント、ホワイトセメント、
白竜砕石(7厘)、白竜砕石(5厘)、鹿沼土、赤玉土、大磯砂利、
すさ、もみがら、そしてセメント・プラスター用着色剤。
これらを各自でブレンドし、オリジナルの調合を作り上げます。
配合を確認しながら、骨材や水を増やして、手早く掻き混ぜます。
それを30センチ角の枠に、鏝を使って塗り込めます。色とりどりです。
と、ここまで一気に進めます。
左官は水の引き具合が重要で、のんびり進めることはできません。
この後、掻き落とすのですが、乾くまでの時間が必要です。
その間、若き左官職人・古川さんが自身の作品をお披露目してくれました。
おぉー凄いーと、芸術性は感じるのですが、何が凄いのか素人目には分からない、、、
古川さんの解説をお聞きし、ただ、ただ感嘆。本当に凄い技術です。
左手の方が、その古川さん。泉さん曰く「挾土を超えたね」と、、、
これを見た富沢社長もビックリ。あまり多くを語らない社長が乗り出してきました。
目利きの二人が真剣に語っています。
私が特に凄いと思ったのは、この磨き。普通、凹凸があっては磨けないはずです。
凹凸と磨きの関係は、古川オリジナルなので公表しませんが、地道な努力があったはず。
すっかり古川ワールドに魅了させられてしまいました。
さてさて、我々の作品は、乾いたかしら、、、乾きの遅いものは、ストーブの傍に。
材料の配合や、混ぜ方の関係で、こんなに水の引き具合に差がでるものか、、、
ということも学べました。掻き落としまで、もう少し。
さて、いよいよ乾燥のタイミングを見計らって、掻き落としの作業です。
用意されたのは、4種類の道具。道具によって、肌理の細かさや、荒々しさ、など、、、
もちろん完成の表情が異なってきます。
はじめは勇気がいりますね。力加減や櫛の引き方など、手探りで進めます。
混ぜている骨材もそれぞれなので、何が、どんな表情で浮き出てくるのか楽しみ。
それぞれ見せ合って、どんな骨材を混ぜれば、それぞれの量は、成功例、失敗例、、、
すさを混ぜて掻き落とすと、すさが浮いて出てきます。
その浮きが気になる人は、火で炙ると良いそうです。
恥ずかしげもなく、拙作のレシピを紹介します。
まずは、ホワイトセメントをベースに、ポルトランドセメント少々、
セメント・プラスター用着色剤の朱色:小豆色=6:4。
鮮やかなベンガラ色を目指します。
様子見で、これらを混ぜてみると、薄いピンク色に、、、
で、どうなるんだろう~、、、全く予想がつかず、左官職人さんに、
どう?って聞いてみると、「水を混ぜると、かなり濃い赤になるよ」と。
ほんとだ。こんなちょっとの着色剤でも、こんなに濃くなるんだ~と驚き。
欲を出して、もう少しだけ着色剤を加え、次に白竜砕石(5厘)を加えました。
白竜砕石(7厘)にしようか、、、それとも両方混ぜようか、、、悩んだのですが。
荒々しさというより、上品な肌理で行こうと。
いい加減の練り具合になってきました。
次にもみ殻と赤玉を入れました。これらが掻き落とした時の表情として現れます。
全ての配合を終え、300角の枠に塗り込んだところ。
うん!理想通りの鮮やかなベンガラ色です。
水が引いたところで、ガリガリ、ガリガリ、ガリガリ、掻き落とし。
こちらの櫛を使いました。出来上がり!いい感じ!
そして、事務所に持ち帰って数日。出来立ては水分を含んでいるので、色は濃い目。
数日経つと、乾いて、少し淡い色になります。
それを予想して、かなり濃い目にしてあったのですが、思った以上に淡くはならなかった。
それはそれで良かったのですが、もう少し濃くても良かったかな、、、
あと、もみがらは形状は見えるのですが、朱色を吸って、存在が見えにくい。
左官職人さん曰く、濃い色だと、もみがらは、こうなるんだそうです、、、
あと、上品過ぎたかな、、、もう少し骨材を入れれも良かったかな、、、大磯砂利とか、、、と、色々と思うところはあるのですが、思いが詰まった一枚です。