根來宏典建築研究所

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2019年5月24日(金)

根来に根来無し

「根來」何とお読みするんですか?と、よく聞かれます。來は来の旧漢字、、、そういうことではなく、そもそも「根来」の読み方が分からない。歴史を詳しい方には、根来忍者、根来衆、根来の鉄砲隊、根来寺(国宝)として知られています。漆を詳しい方なら「根来塗」としても知られ、数寄者や茶人の間では珍重されてきました。上塗りの朱塗りが摩耗し、下塗りの黒地が浮き出ている漆器。その用語を知らなくても、知らず知らずの内に使われているご家庭もあろうかと思います。

 

「根来に根来無し」という譬えがあります。中世に隆盛を極めた根来寺では、数千人もの僧徒が日常的に使う什器として大量に生産されましたが、現在の根来寺には根来産である漆工遺品どころか、その生産活動を裏づける資料すら残っていないそうです。それは豊臣秀吉の「根来攻め(1585年)」によって焼き討ちに合ったため。難を逃れた漆職人たちは黒江や輪島、薩摩に移住し、その技法を伝えました。よって産地としての名は歴史から消えましたが、技法としての名が残ることになった訳です。

 

というところまでは、私も知ってはいるのですが、それ以上のことは存じません。『朱漆「根來」中世に咲いた華』という美術書を、たまたま書店で目にしました。根来の名品、優品が400点以上収録されています。根来という名の歴史を知るとともに、美意識を高めたく、手に取った次第です。