根來宏典建築研究所

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2019年4月23日(火)

蘆花浅水荘

琵琶湖の畔に建つ『蘆花浅水荘』を訪問してきました。前々から見たいと思っていた建築。画伯・山元春挙(1872-1933)の別邸。当時の最高の材と技術で作られた数寄屋。国の重要文化財に指定されています。現在はそのお孫さんが暮らしており、丁寧に案内してくれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

12畳の書院「撥雲亭」から臨んだ景色。530坪の敷地。建築は少しずつ進められ、大正4年には中心となるこちらの書院、翌年に持仏堂(記恩堂)、大正12年に主屋・画室・竹の間と作られていったとのこと。昭和8年には茶室「穂露」が完成したものの、画伯自身は席抜きしないまま他界されたそうです。

 

撥雲亭には二畳の上段床と付書院があり、表千家の残月亭を基本に、独自の表現なされています。周りには入側(一間幅の畳廊下)が巡り、その天井には見事な北山杉をあしらった舟底天井。お庭は芝生が植わった築山で構成、その向こうには借景としての琵琶湖を臨むことができます。かつては琵琶湖の水が引き入れられ、釣船が自在に出入りできたそうです。庭先には、現在も当時の船着き場が残っています。

 

 

 

書院の北東には、引き込まれた水辺に張り出した六畳の間「莎香亭」。室内からの景色は、水盤に浮いているようでもあります。外部における手水鉢などの設え、内部における襖紙や手掛けなどの設え、一つ一つに趣向が凝らされ、春挙ならではの美意識に包まれており、すっかり魅了されてしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

主屋の2階には、創作活動の場「画室」。大作を手掛けるための大きな間取り。春挙が使っていた筆や絵具といった道具類が今もそのまま残っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

画想を練った二畳の小室「無尽蔵」。居心地がよく、時間の経過を忘れてしまいそうな空間。花頭窓の前に腰掛け、春挙が使っていた肘掛けに寄りかかり、外を眺めていると幸せな気持ちになりました。

 

記恩堂に併設された茶室と、離れの茶室「穂露」は、整備の手が回っておらず、本来なら閉じているのですが、特別に内部も見せてくれました。蘆花浅水荘は、画伯・竹内栖鳳(1864-1942)の『霞中庵』も建てた棟梁・橋本嘉三郎が手掛けたもの。そちらも拝見できることを願っています。

 

下の写真は、竹の趣向が凝らされた「竹の間」の丸窓。床柱も竹、落掛も竹、床の蹴込も竹、、、珍奇な竹が巧みに使いこなされていました。独創的で美しかったです。