秘苑@韓国その10 | 築紡|根來宏典

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2019年4月9日(火)

秘苑@韓国その10

あまりに充実過ぎた韓国旅行。最後に訪れた『昌徳宮(チャンドックン)』。

 

太宗5年(1405)に建造された宮殿。1592年の壬生乱(豊臣秀吉の侵略)にて焼失、1609年に再建。その後も内乱や火災などもあり、その都度、再建されているそうです。韓国の美、その神髄と謳われる宮殿なのですが、我々の目的地はその奥にある『秘苑(ビウォン)』。朝鮮半島最大の庭園であり、代々の王によって整備されてきた最高傑作。

 

秘苑の広さは61,900坪。起伏に富んだ地形に、沼、渓流、樹木が生い茂る自然の風景が広がり、そこに楼閣や亭樹が配置され、優雅な情緒が漂っています。秘苑は近来的な名称で、時代によって後園、北園、北苑、禁園、後苑と呼ばれてきたそうです。

 

 

池の周りには宙合楼、暎花堂、芙蓉亭が取り囲み、池の中央には蓬莱山。ドラマ「チャングムの誓い」の撮影場所なのだそうです。

 

その一つ「芙蓉亭」。小さいながらもT字型と亜字型が複合した複雑な建物。煌びやかな装飾をまとい、池に張り出すように建っている美しい建物。その軒裏がまた凄まじい、、、目がくらくらしてきます。。。

 

 

 

 

 

 

 

さらに奥に足を進めると「演慶堂(ヨンギョンダン)」。1828年、世子(セジャ/皇太子)の請によって、当時の上流階級の住宅を模して建てられたもの。99間あるそうです。昌徳宮は宮殿ですし、秘苑にある建物も煌びやかな色が配色されているのですが、こちらの建物だけは無彩色で別世界。

 

長楽門と書かれた扁額を掲げた門。その左右には行廊棟(外厠、馬具間、下人の居住房)が伸びています。日本的にいうと長屋門ですね。門を入ると行廊庭。さらに足を進めると、左手に舎廊棟(主人の空間)の中門、右手に主屋棟(女性の空間)の中門があります。中門も長屋門形式になっており、小規模な棟の単位が囲われた庭を形成しています。これらは階級的なこと、守衛的なことから生まれた空間構成だと思いますが、奥へ奥へと連続するカスケードが美しい。

 

 

こういったカスケードは、建物の配置計画だけでなく、室内空間においても同様のことが言えると思います。オンドル房からウムルマル(厚い床板を井の字型に組んだ板間)へと視線が抜け、さらに庭へと広がる空間構成。

 

オンドル房の床は、植物油を染み込ませた韓紙を何層にも重ねたもの。壁には真っ白な韓紙が隙間なく貼り回されています。気密性を高めるためのものですが、窓の少ない室内を明るくすることにも繋がっており、窓を開けた時に映る柔らかな光と陰影がとても美しい。

 

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昌徳宮と秘苑で見かけた美しい塀を4枚ほど。