民俗村@韓国その6 | 築紡|根來宏典

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2019年3月28日(木)

民俗村@韓国その6

ソウルから40㎞ほど離れたところにある『韓国民俗村』にも行ってきました。

 

22万坪の敷地広さに、朝鮮時代の農家や民家、両班の家や婚礼場、寺院や書院、官衛(役所)や裁判所といった200棟余りの建物が移築保存されているそうです。テーマパーク的要素もありますが、当時の生活模様や、それらと密接に繋がる伝統的な建築のこと、その変化のプロセスを学び得るには、もってこいの場所。

 

日本にも民家園などがありますが、歴史的価値の高いものを保存しようとする傾向があり、また建物と土地との密接度も低いように思います。韓国では「マダン」という概念が重要で、一言で訳すと「庭」なのですが、それだけだと不適切であり、言い表すには難しい中間領域的なもの。

 

 

マダンは、朝鮮民族固有の生活空間であり、建物と一体になって存在する場。そこは仕事場であり、休み場であり、遊び場であり、、、暮らしに欠かすことのできない存在なのだそうです。

 

日本と韓国の二つの国の境界に立った建築家・伊丹潤(1937-2011)は、李朝人のことを「農耕に生き、土に生まれ、土に帰るまで、土の香りの中で生きてきた」と述べています。伊丹潤のお話は、コチラでも≫

 

それは暮らしもそうなのですが、建築的にも土を塗りこめたオンドルであったり、防寒対策として屋根に厚く塗り込められた土であったり、、、といったところにも表れており、土と共に生きてきたと言っても過言ではありません。

 

 

韓国では、ワラ、ススキ、ヨシなどの草で葺かれた民家を草家(チョガ)と呼ぶそうです。本土では、稲藁で葺く「藁葺き」が一般的。農地の少ない島嶼部と山間地方の一部では、ススキ等で葺かれた「茅葺き」なのだとか。

 

建築の中で、その土地の気候風土や社会的要因が形態的・機能的に最も表れるのが住宅だと思います。貴族階級の住宅ですと、特殊であったり、数も少ないので比較するのは難しいのですが、庶民の住宅ですと、その違いが顕著。

基本的には、土間の釜屋、オンドル房(閉鎖的で暖かい居室)、マル(風通しの良い板の間)で構成され、民家は小さいゆえ比較がしやすい。研究によると、それらの特徴は、北部型、西部方、ソウル型、中部型、南部型、済州島型の6つに分けられるのだそうです。

 

 

ちょっと変わっていますが、私が一番興味を持った鬱陵(ウルルン)島の民家。名前もユニークな島ですね(笑)雪が多くて、強風が激しい地域だそうです。屋根はヘギ板葺。両サイドにはススキで囲った中間領域。釜屋は家の中心に置かれ、焚き口の暖かい空気が家全体を暖める作り。

 

屋根を構成する桁梁は、曲がった自然の松を使っています。軒は低く、一番高いところが人の出入り口。豊富に木材が採れる地域だそうで、間取り的な構成だけでなく、素材やその特徴を活かした細部が建築的な特色になっています。

 

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他にも色々な魅力が満載の民族村でした。