根來宏典建築研究所

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2019年3月18日(月)

香壇@韓国その1

 

先週、家づくり学校の修学旅行、総勢30名で韓国に行ってきました。予習のお話は、コチラ≫

 

初めに訪れたのは古都慶州から25㎞ほど離れた所にある良洞村(ヤンドンマウル)。今から600年前、李朝時代の伝統文化や家並みが残っている村です。そこにある「香壇(ヒャンダン)」。1543年頃(朝鮮時代中期)東方五賢人と讃えられた生理学者・李彦迪が慶尚道の知事に赴任した当時に、彼の母親の看病ができるようにと、王の中宗が配慮して建ててくれた住宅。高台に建つ、この村きっての華麗なる建物です。

 

広いお屋敷ではなく、コンパクトながらも丁寧な作り込み。地形を活かした配置計画。低いところには下人や作業具の部屋が並んだ行廊棟(ヘランチェ)。その屋根越しの眺望を確保するとともに、南の暖かい陽射しを取り込んでいます。

 

丸太垂木を現した化粧屋根裏は重厚感があり、バルコニーまで連続して伸びているので内外に一体感があります。

柱は全て丸柱。これはとても重要なことで、特別な人にしか許されなかったもの。

個人住宅としては、他に類を見ないそうです。

 

プランニング的に特筆するところは、中庭が閉鎖的で小さいこと。

軒が深く出ているので、さらに狭いはずなのですが、決して狭く感じることはなく、かえってその狭さが心地よいもの。

また軒は低く抑えられており、廊下のような設えでもあります。

韓国では、中庭は気が集まる重要な場所。母の部屋は、そんな中庭に面しています。

 

中庭を二つ内包し、屋根伏せ的には「日の字」になっています。

棟と棟との間を抜けると、もう一つの中庭。軒下と抜けが機能的に繋がっております。

もう一方の中庭は釜屋(いわゆる炊事場)。一般的な住宅に比べ、かなり大きいのも特徴。

釜の背後には母の部屋。釜の火は調理に使われるだけでなく、その熱は母の部屋を優先し、その床下に送られます。

いわゆる温突(オンドル)ですね。

 

母の部屋からの外部を眺めると、まずは中庭、その向こうに舎廊棟(サランチェ/息子主人の居室や接客の場)、

さらにその向こうにシンボルツリーが植わったお庭(マダン)、さらにさらにその向こうには集落が広がる眺望。

母の部屋は家の中心にあり、守られつつも外気を感じ、息子のことを思い、シンボルツリーに思いを馳せ、村人のことも思いやる。

そんな様々な生活シーンが想起される美しくも巧みなカスケード。

 

上流階級で、これらのような空間構成やスケールの住宅形式はみられないそうです。

母親を看病するために建てられた住宅であることが、その理由かもしれません。

 

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