根來宏典建築研究所

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2019年3月4日(月)

板金職人

『紀州の家』板金仕事が真っ盛りです。

 

近年の板金仕事、その職人技術が必要なくなってきておりますね。切る、叩く、折る、掴む、、、これらは板金職人の基本なのですが、既製品だとキット化されているため、工具も技術も必要ありません。もちろんそんなに都合よくもなく、取り合いや役物は生じますので、現場加工も発生するのですが、コーキングに頼ってしまっているケースも多々見られます。コーキングは劣化しますし、見た目も良くない。

 

既製品による合理化も大切なことなのですが、それによる技術の衰退を懸念します。工具が使える使えないの話ではなく、水の道や毛細管現象を読む力が無くなるのが心配。それ対応できる知識と経験から生まれるのが本質的な技術だと思います。

 

 

こちらの面の外壁を仕上げるのに、四人で一日掛り、、、

両サイドに熟練さん、中の二人は見習いさん。板金の厚みは0.35mm。

割りのない長物なので、人数を掛けて持たないとベコベコしてしまいます。

 

熟練さんが板金を切ったり折ったり掴んだり、また声を掛けて指示しつつ、

見習いさんはそのサポートと板金を固定するためのビス止めが役割。

二人でもできなくない作業ではありますが、四人の方が効率的ですし、

技術を伝えていくのも熟練さんの役割ですね。

 

職人技術を若者に伝える余裕のない現代の社会において、

このような光景が見れたことに、ちょっと嬉しく思いました。

 

 

こちらは一文字葺きの屋根。雨上がりの様子。

分ってもらえるかな~この素晴らしい技術を!

 

通常(既製品)だと、棟には「棟包み」というカバーが付きます。

そのカバーを付けず、職人さんに折って欲しいというのが私の拘り。

それに応えてくれたのが、先日ブログに紹介したモックアップ。コチラ≫

 

そして更にもう一歩こだわって仕上げてもらったのがこちらの写真。

面によって板金が段違いになっておらず、軒先はピン角の納まりになっていますね。

軒先二段の角度を変えているのは意匠的なポイントのひとつ。

 

カバー工法に対し、モックアップの納め方だと倍の手間。

モックアップに対し、こちらの仕上げだと更に倍の手間が掛かっていると思います。

美しすぎて、そして職人さんの気概に感動しております。