根來宏典建築研究所

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2018年8月2日(木)

石の品質を知ること

採掘場は誰もが感動するところ。

設計者としては、その先の使い方も学ばねば!

 

深岩石が使われた建築の実例を見学。栃木市にある『横山郷土館』です。

栃木市でも大谷石が使われた建物を多く見かけるのですが、

深岩石は高価なために一般住宅で使われることは少なく、

お屋敷などで使われていたそうです。

 

こちらの建物は、中央に切妻造りの木造店舗、その両翼に深岩石の石蔵の構え。

右半分は麻問屋、左半分は銀行を営んでいた明治時代の豪商の建物です。

文化庁の登録有形文化財にもなっています。

 

石蔵が保存状態良く残っています。

作りがしっかりしていることもあるのですが、

深岩石は圧縮強度が強いので耐震性に優れ、

かつ吸水率が低いので壁が汚れにくいのも要因かと思われます。

また凝灰岩であるため、調湿機能に優れており、蔵の内装にも適しています。

 

ちなみに窓枠に使われているのは、同じく栃木県で採取される『芦野石』。

芦野石は、圧縮強度がさらに強く、

地震の影響が受けやすい開口部廻りに使うことは、理に適ったこと。

また浴室の床に使えるほど水にも強いので、水切りにも適しています。

 

 

深岩石の勉強に来たのですが、他にも見事な石が使われています。

こちらは『白河石』の黒目。

白河石(福島県)と芦野石(栃木県)は同じなのですが、

採れたところで名前が変わります。

ともに灰色の石なのですが、特に黒目の白河石は、希少価値が高く珍重。

 

大谷石と深岩石は凝灰岩、芦野石と白河石は安山岩。

どちらも御影石などの花崗岩に比べ、柔らかく優しい表情が特徴。

柔らかい分、加工がしやすいので、彫刻にも向いています。

 

ちなみに芦野石には、入手困難な寅目というのもあります。その仕様事例はコチラ≫

 

裏に回って、お庭と座敷の様子。素晴らしい建築です。

石の勉強に来たのですが、見所が盛りだくさん、、、

天井には屋久杉なんかも使われておりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

足元に目を向けると、基礎にも深岩石。

水の吸い上げが少ない特徴を活かしたものであり、

その美しい状態が残っていることからも、

品質の良さが歴史的にも証明されているかと思います。

 

石の品質を表す指標として、吸水率、圧縮強度、見かけ比重があります。

石にはそれぞれの特徴があり、それを知ると適材適所の使い方が見えてきます。

こちらの建物は、その経年変化の様相を知ることができる貴重な文化財なのです。