根來宏典建築研究所

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2018年6月18日(月)

初夏の瑠璃光院

この時期、どうしても行きたかった『瑠璃光院』行ってきました。

 

京都は東山、修学院のさらに奥、比叡山の麓「八瀬」という場所。

現在は寺院となっておりますが、元々は明治から昭和初期に建てられた別荘建築。

 

当日は小雨模様。

現地に着くと雨が上がり、新緑と苔が映える絶好のコンディション。

山門をくぐると、そこから続く石段と『山露路の庭』。

百種以上のモミジやカエデが植わっているそうです。

 

一歩一歩、その景色に見惚れながら階段に足を進めます。

 

玄関を入り、まずは2階に上がります。

そして目に飛び込んでくる風景。大きな開口部の前に広がる新緑のモミジ。

そのモミジが黒塗りのテーブルに映し出され、幻想的に。

 

内と外とを一体に包み込むような新緑に染まる空間。

この景色に惹き込まれ、いつまでも座っていたい。

 

 

 

 

 

 

階段を下りて、一階にて主庭を臨みます。

2階で見たモミジが覆いかぶさり、苔の絨毯が奥まで広がっています。

『瑠璃の庭』と呼ばれ、瑠璃色に輝く浄土の世界を表しているそうです。

「せせらぎ」と「あぜ道」とが蛇行しながら彼方に消えゆく景色。

 

 

 

 

 

 

 

 

本館は高いところ、別館は低いところにあり、渡り廊下で繋がっています。

自然の地勢を中庭のように取り囲んだ数寄屋造りの建築。

名工・中村外二(1906-1997)が手掛けたもの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

階段を下ると、そこにはもう一つのお庭『臥龍の庭』。

池泉庭園で、天に駆け上る龍を水と石で表しているそうです。

こちらも座敷や縁側に腰を据え、いつまでも座っていたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

臥龍の庭を眺める座敷の奥には茶室『喜鶴亭』。

 

こちらの別荘は、京福電気鉄道が所有した時期もあり、

1日に4組限定の高級料理旅館・喜鶴亭として

隠家的に使われていたこともあるそうです。

 

 

 

 

 

 

 

瑠璃の庭、臥龍の庭だけでなく、各所の窓から見えるお庭の景色も秀逸。

窓ごとに景色が異なり、その都度足を止めてしまいます。

起伏に富んだ敷地ならではの設えで、その自然を活かした借景は見事です。

 

作庭にあたったのは、佐野藤右衛門一統と伝えられます。

藤右衛門は、造園業「植藤」の当主が襲名するもの。

桂離宮や修学院離宮の整備を手掛けたり、

京都迎賓館の庭園を棟梁として造成したり、

パリ・ユネスコ本部の日本庭園をイサム・ノグチに協力して作った庭師です。

 

 

 

ここ八瀬は「八瀬のかま風呂」と呼ばれ、壬申の乱で背中に矢傷を負った

大海人皇子(天武天皇)が窯風呂で傷を癒した地と伝わり、

平安貴族や武士たちにも「やすらぎ」の郷として愛されてきたそうです。

 

この『かま風呂』は、日本式蒸し風呂の原型であり、現存する希少な遺構とのこと。

そしてなんと、料理旅館時代は実際にも使われていたそうです。

中に入って身を置くと、かまくらのように包み込まれ、心身ともに落ち着きます。

 

私は、この新緑美しい初夏が好きなのですが、

紅葉の時期、また違う景色が広がっているんでしょうね。

何度でも足を運びたくなる世界が、ここにはありました。