体験的に構造を学ぶ | 築紡|根來宏典

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2018年5月10日(木)

体験的に構造を学ぶ

第10期家づくり学校が始まりました。

 

10期という節目の年、新たな取り組みにチャレンジしています。それが5月6日(日)に行われた『特別構造ゼミ』。本校のカリキュラムは、1年生は座学、2年生は素材や技術の探訪、3年生は幅広い知見を広げる演習、4年生はスタジオ制となっているのですが、構造設計に関する実務能力を培うためには、より専門的かつ時間を割く必要があるように思われたのです。学年やOBに関係なく受けることが出来る特別なゼミ。

 

体験的に構造を学ぶという主旨のもと、まずは泉校長よりその目的と課題を説明。本ゼミは全8回。概論(システム論)だけでなく、与えられた住宅の軸組を各自が考え、その軸組模型を作成し、それを基に実践的な指導を受ける内容です。

 

 

泉校長は「軸を組み立てる」という言葉を使われるのですが、この課題は意匠設計者の立場から考えたものであり「答えはひとつでない」と言います。その解決方法に多様な個性が生まれ、そこに構造設計の楽しさがあるのだと思いました。

 

このやっかいなゼミを引き受けて下さったのが山辺豊彦先生と馬場淳一先生(山辺構造設計事務所)。より実務的な構造設計を、山辺先生たちより、手取り足取りの個別指導を受けることができる贅沢さ。山辺先生も「こんな授業は初めて!」という挑戦的な内容なのです。

 

大型連休中にもかかわらず、8回に渡る授業回数にもかかわらず、先生も受講生もその負担は大変なはずですが、山辺先生自身も毎回の授業が楽しみとのこと。

 

 

教科書は、もちろん『ヤマベの木構造』。木造住宅の構造設計バイブルにもなっている書籍ですね。これ一冊でわかる!という内容なのですが、やはり肉声だと頭への入り方が違います。もちろん肉声だけで知ったつもりになるのではなく、予習や復習といった意味でも教科書は必須です。書籍については、コチラ≫

 

本ゼミにおいて、梁のサイズを導き出したり、鉛直・垂直荷重、建物の重心・剛心・偏心、構面計画、耐風対応、地盤との関係等々について理解を深めていくわけですが、実務設計における実力を高めるためには、こういった教科書を手元に置き、実務に則する中で、自身を磨き続ける必要があります。本ゼミはそのキッカケを掴む場であり、体験的に学ぶというのは、新たな自分を発見する機会になろうかと感じました。

 

 

大学等での授業や、建築士の試験で、誰しも構造の勉強をしている訳ですが、それらは実務に活かされていないように思われます。ちなみに私は力学の授業が苦手でした、、、それらは実空間との相関が見えない数式の羅列であったり、試験のための勉強という感覚があったため、興味の対象にならなかったのです(いい訳ですね)。

 

山辺先生は「力の流れを読む」という言葉を何度も使います。これが全ての基本とのこと。その意味を知った上だと苦手な力学のお話も、自然と頭に入ってくるのです。もちろん山辺先生の温和な話し方と、豊かな経験あってのことだと思いますが。

 

新入生となる1年生の授業は、5月27日から始まります。定員までまだ空きがあるようです。入学希望者は、コチラ≫