子世帯の和室から縁側を見通した様子。
軒の深さは、1.2m。
軒は、雁行しながら奥へ奥へと伸びており、その全長は25メートルもあります。
対岸には、親世帯の和室を配置し、適度な距離感を保っています。
外壁は黒い板張り、軒天はLDK同様に飴色の板張りであり、
その色のコントラスト(対比)が美しい。
和室天井の「焼竹網代」も、飴色といった同系色のものを選んでおります。
和室の天井高は2mと低く設定しているので落着きを感じます。畳は「琉球畳」。
4畳半ほどの和室なのですが、畳を全面に敷き込むのではなく中央4枚とし、
周辺には縁甲板を回しています。
縁甲板は、ヒノキやマツといった針葉樹が一般的に使われますが、
ここでは、岩手県産「南部クリ」の広葉樹を採用しています。
仕上げは、名栗(なぐり)。
名栗とは、表面を刃物ですくい取るように削り、凹凸を出すひと手間加えた仕上げ。
元々は、柱や梁の下処理だったのですが、利休が茶室に持ち込んだ詫びた世界観であり、使った道具や手づくりの痕跡を残す味わい深いもの。
名栗は、もちろんクリ以外の樹種でも加工できるのですが、
ここでは名前が表すように元来の意味でのクリを採用した訳です。
また優しい手触り、足触りであり、座り心地が良いのも魅力です。