伝統を活かし、モダンに仕立てる @縁の繋がる家 その7 | 築紡|根來宏典

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2018年3月9日(金)

伝統を活かし、モダンに仕立てる @縁の繋がる家 その7

キッチンから和室を見た様子です。

 

障子の桟は、デザイン組子。「あみだくじ」みたいですね(笑)

モダンなリビングに対し、障子もモダンなデザインとしました。

 

キッチンの背面(写真左手)には、洗濯機の置かれた洗面脱衣室。

障子を開けておけば、キッチンから和室でお昼寝する子供の様子を見ることができ、

かつ家事動線をコンパクトに計画しました。

 

後から思い出したのですが「あみだくじ」のような障子のデザインは、故・村野藤吾氏が目黒区役所(旧・千代田生命本社ビル)の和室で試みておりますね。コチラ≫

 

 

障子を壁中に引き込んだ様子。障子の敷居すべりは、厚さ3mmもある「さくら」。

天井は「焼竹網代」、押え竹は「煤竹」。

襖は、桂離宮の襖を模した市松。江戸時代から続く和紙問屋さんからお取り寄せ。

青は斐伊川手漉純楮紙の草木染、白は越前手漉純楮の奉書紙です。

数寄屋素材を用いながらも、現代的な住宅に合う設えとなるよう心掛けました。

 

数寄屋とは茶室のこと。お母さまのお姉さまが、自宅にお茶室(炉や水屋もある)を持っている方で、その設えに興味を持ってくれました。

日本が育んできた文化は、現代住宅でも受け継ぎたいものですね。

とはいえ、本格的な茶室をこしらえるわけではありません。

その伝統的意匠を活かし、モダンに仕立てることが、ここでのテーマとなりました。

 

 

襖の脇には「出文棚(いだしふみたな)」ならぬ、読書・パソコンデスク。足元は、腰掛けしやすいように掘り込んでいます。
縁側に面した2組の横繁障子は、それぞれ右手の壁面に引き寄せられ、引き残し無しの全面開口となります。

あみだくじ障子の横桟の間隔は、無秩序なランダムピッチに見えますが、こちらの横繁のピッチと揃えて、統一感を持たせています。