和室の設え @都市の隠れ家 その7 | 築紡|根來宏典

築紡

築紡

loader
ブログ
ブログ

2018年1月25日(木)

和室の設え @都市の隠れ家 その7

和室からLDKを見た景色です。コンパクトな住宅ゆえ、床の間を設けるスペースがなかったので、吉野杉(耳付)の板を浮かせた飾り棚を設けました。

 

天井からは、床柱に見立てた吊材。空間との調和を図り、太さ30mmと細くしました。素材は「錆桜張丸太」。自然木でこんなに真っ直ぐで細い丸太はありません。製材に桜の皮を撒いたもの。秋田県角館に樺細工という伝統工芸がありますよね。あの技法です。艶を出した磨き物もありますが、ここではサビ物を使っています。

 

 

 

 

 

 

和室は障子で仕切ることができます。組子のデザインは「緩やか横繁」。現代においては、横方向の組子を細かく入れたもの全般を横繁といいますが、元来は、手隙和紙の寸法(美濃半紙:縦9寸/273mm)を単位とし、紙一枚の間に横二本入れたもの(地域によって本数は異なる)。現代の和紙は大判化され、組子のピッチは自由になりましたね。元来の横繁だと、この空間には細かすぎてウルサイかと思い、緩やかに広げています。ちなみに横繁は関東好み、縦繁は関西好みなのだそうです。

 

写真正面の引戸は、玄関収納の出入り口。板戸ではなく、収納内部を明るくするための明かり障子。組子は土間の目地切と同じく「石畳調」とし、モダンなデザインに仕立てています。どちらの障子の組子も、見付は6mm(通常は7.5mm)とし、繊細なデザインにしています。