善福院釈迦堂 | 築紡|根來宏典

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2017年8月17日(木)

善福院釈迦堂


夏休みを利用し、和歌山県海南市下津町にある『善福院釈迦堂』を訪れてきました。

こちらの釈迦堂は、鎌倉時代の嘉暦2年(1327)に建てられた禅宗様仏殿。
大陸から伝来した初期建築様式として貴重な存在で、国宝にも指定されています。
現存する禅宗様建築の多くは、室町時代のものだそうで、
鎌倉時代初期となると、こちらと山口県下関市にある『功山寺仏殿』だけなのだそうです。

一見すると2階建てに見えますが、下の屋根は「裳階」。つまり平屋。
裳階は、雨風から建物の足元を守るための庇や霜よけなのですが、
建物の足元を固める構造的な役割も担っており、それが現存に至る要因かと思われます。

禅宗様建築は通常、入母屋造りの桧皮葺か杮葺きなのですが、
こちらのように寄棟造りの瓦葺は珍しいそうです。
瓦は重いので、構造的に有利な寄棟にしたのかもしれませんね。
出組は、二手先となっています。

開き戸は、框組に薄い鏡板を嵌めた「桟唐戸」。
弓の形をした「弓欄間」が建物周りを一周。
柱頭は、丸く削られた「粽柱」。これらも禅宗様建築の特徴です。

弓欄間から漏れる柔らかな光が内部を照らします。
内部は土間。敷かれている敷瓦が美しい。
自然石の上に礎盤を挟んで柱が立っており、気品を感じます。

根來宏典建築研究所