根來宏典建築研究所

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2016年2月12日(金)

テラスで過ごす時間 @祐天寺の家 その14

さて、いよいよ『祐天寺の家』の紹介は、最終回。

 

テラスの様子。広さは、10帖。ベンチも造り付けられております。
このベンチに座って過ごす時間は、格別です。

 

中庭のように壁で囲われているので、プライバシーも確保されております。
天使たちが大声を出しても、音は壁を反射して空に抜けていくので、
近所の方に迷惑を掛けることもありません。

 

ランチ、ティータイム、バーベキューはもちろんのこと、
ひたたぼっこ、夕涼み、読書、プール、プランター、

夜空を楽しむ場になることでしょう。

 

このテラスは、二人の天使にとって、お気に入りの場所。
この空間で家族と共に刻まれる時間は、二人の原風景となるに違いありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベンチに座って、見返した様子。建具は木製で、片方に引き寄せることが出来ます。
大工さん、板金職人、建具職人、塗装職人、ガラス屋さんの合作によるオリジナル。
準防火地域ですが、プランニング次第で、このように木製とすることも可能です。

 

内外が一体となった気持ち良い空間。
テラスからリビングの奥まで貼られた壁面タイルは、この家の象徴的な存在。

その全長は、12メートル。

優しく、温かみがあり、素朴な手づくりのタイルがダイナミックに連続しています。

 

テラスには、段差を設けてあります。外履きに履き替えるための設えです。
ですが、、、天使に、そのような大人の想定は、通じません。

 

 

そりゃそうですよね、、、気持ちよくて、大人もそのまま出ちゃってるんですから(笑)
この設えは、縁側のように腰を掛けることもでき、その過ごし方もまた格別なのです。

 

最後に、建主さんから頂いたメッセージの一部を拝借。
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暮らしてみて思うことは、この家は細部に至るまで、実によく考えられた家であるということです。全体の間取りや設計はもちろんのこと、

随所に盛り込まれた素人目には分からない細かなこだわりも家全体の雰囲気を素敵に演出する役割をしっかりと果たしており

「何が素晴らしいか」と問われたら「全部が素晴らしいのだ」という答えが最も適切だと思う次第であります。
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私が常々考えているのは、レジビリティ(legibility)とアンビギュイティ(ambiguity)の両面を併せ持つこと。

前者は空間構造の「わかりやすさ」であり、Kevin Lynchが提唱した都市構造の指標。

後者は「多義性」であり、A.Rapoport & E.Kantorの提唱です。
ちょっと専門的になってしまいますが、住まいにおいて、この二つの次元が高い住宅は、より暮らしやすく、より楽しく過ごせる家だと思うのです。

 

『祐天寺の家』も同様、シンプルでありながら、多様な空間が実現しました。空間の豊かさとアイデンティティとも言えます。
建主さんのメッセージに照らし合わせると、「何が素晴らしいか」というは、アンビギュイティな問いかけであり、
「全部が素晴らしいのだ」という回答は、レジビリティそのものだと思います。

 

家を建てるということにおいて、これらを実現するためには、多くの方の理解、協力、苦労が必要です。

家づくりに携わった全ての人に感謝いたします。