腰掛待合 @祐天寺の家 その4 | 築紡|根來宏典

築紡

築紡

loader
ブログ
ブログ

2016年1月18日(月)

腰掛待合 @祐天寺の家 その4

玄関ポーチに設けられたベンチ。

 

茶の湯の世界には「腰掛待合」があります。露地に設けられた休憩所のことです。
こういった日本らしい文化は、現代住宅においても継承したいもの。
一坪の小さなポーチに、腰掛待合ともいうべき、ちょっとしたベンチを設けました。

 

2階にリビング・ダイニング・キッチンがある住宅です。
来客時に、2階から降りてきて玄関の鍵を空けるのに、少し時間を要します。
その際に、ちょっと腰を掛けていただくためのベンチであります。

 

また、お子様とのお出かけの際には「お母さ~ん、ま~だ~」と言って、
子供が先に出て座っていたり、買い物帰りの荷物を仮置きする台でもあります。
ちょっとし工夫ですが、生活が便利となり、心和む設えであります。

 

壁には、ラフで、味のある、白い手づくりタイル。
目地幅は15mmとし、通常より大きく取っています。目地は「ツラ目地」。
モルタルとタイルとが同ヅラで、盛ったモルタルを掻き落としたままの状態。
素朴で、手づくり感があって、温かみのある表情に仕上がっていると思います。

 

土間には、140×190mmサイズのブルーグレイのタイルを乱貼り。
こちらも、素朴で温かみのある、手づくりのオーダーメイドです。
タイルの厚みは20mmもあり、タイルというより、石や瓦のような趣き。
水に濡れると、鮮やかなブルーとなって、もっと素敵な色合いになります。
もちろん滑りにくく、雨の風情にも良く似合うタイルなのです。

 

 

タイルというのは、素材そのものも奥深いのですが、目地が肝心で、その意匠に大きな影響を与えます。
良い素材のタイルを選ぶのと同時に、目地を詰める良い職人さんがいないと、その素材の良さが惹き出せません。

 

ベンチの背もたれ壁が、床から微妙に浮いているのが分かるでしょうか、、、新南部の砂利が、壁下に少し廻り込んでいます。
タイルのサイズは、60×210mm。ベンチの板厚も60mmと揃え、目地割もピッタリ。
照明器具のデザインも、配光も見事に調和しております。うん!美しい。自画自賛、職人さんたちに感謝です。