北側の和室に戻って、和室から玄関を見返した様子です。
こちらのアンティーク照明も素敵ですね。
押入れの襖に貼られた「江戸からかみ」ともマッチしております。
華やかな江戸からかみ、個性的なアンティーク照明、ランタン型の土間タイル、
瓶覗色の幅木や建具、ワインレッド色のコンセントプレート、、、
お施主さんが選んだものなのですが「とんでもなく、ちぐはぐな家にならないか?」
と何度も聞かれ、お施主さんご自身は物凄く不安になっておりました。
そう聞かれるたびに、私は「大丈夫ですよ。多様な個性が集まり、それぞれがぶつかり合うというよりも、より魅力的な全体性になっていると思います」とお答えしておりました。もちろん、私の感性に合わないものは、合わないとお答えします。
だからと言って、私の感性が正しい訳ではありませんが、、、
そんな中、和室の襖に、ひっそりと佇んでいる私のお気に入りの「引手」。
引手職人・堀口さんの引手です。堀口さんのお話は、コチラ≫
香炉のカタチをしていて、中には「長命富貴」という文字が彫られています。
とても縁起が良いが良い引手なのです。
この引手が付いている襖紙は「雲母引き手揉み紙」。
越前楮鳥の子紙の全面に雲母を引き、手揉み加工された江戸からかみです。
雲母(きら)とは、花崗岩の中の薄片状の結晶を粉末にしたもので、
独特のパール色の光沢が和紙の上品さを惹きたてています。
これにて『昭和モダン・リノベ』の紹介は、お終いです。
最後になりますが、こちらのお施主さんは、シンナー系へのアレルギーがあり、
特に塗料については、全て臭いを嗅いでもらいながら進めました。
幅木や建具に使う木材も合板類は使わず、国産の無垢材を使用しました。
作り手さんにとっては、手間の掛かる仕事であったかと思います。
また、こちらのリノベ、2月末完成の予定だったのですが、
増税の掛込需要の関係で、、、資材が入らず、工事期間がかなり延びました。
大工さんも、資材が入って来ず、作業が出来ないと嘆いていました。私や現場監督の進め方が悪かったのも事実です。
そんな中「大丈夫ですよ!建築のことは全然わかりませんが、根來さんと君島建築さんとのコンビで、
私は豪華客船に乗ったつもりでおりますので」と温かいお言葉を掛けてくれました。
と、まぁ、、、お施主さんと作り手さんに恵まれたお仕事なのでした。