江戸からかみ | 築紡|根來宏典

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2009年5月1日(金)

江戸からかみ

東京で和紙といえば、上野にある江戸からかみ『東京松屋』。
元禄3年(1690年)より続く老舗の和紙問屋さんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

江戸からかみは、加飾された和紙。

その原点は、木版手刷りによる唐紙師。

 

元禄より伝わる版木も残っております。

木彫りの細やかさ、その技術の高さに感嘆です。

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ江戸は火事が多く、木版だけは需要に応えられなくなったそうです。
そこで活躍したのが伊勢型紙(渋型紙)を用いた更紗師(さらさし)。
火事の際、真っ先にこの型紙を持ち出したり、空襲時は、土や井戸に埋めたそう。

 

さらには、金銀の箔や砂子を使って絵を描く砂子師(すなごし)もおります。この唐紙師、更紗師、砂子師の3つの加飾技法をもって「江戸からかみ」と呼ぶそうです。

 

版木の基本は、小判サイズ(約300×450mm)。
このサイズも時代とともに大判化され、約900×360~600mm、
さらには約900×1800mmといった襖一枚分も可能となりました。
これには、版木の大きさだけでなく、手漉き和紙の生産技術とも関連しますね。

 

 

襖が出来るまでの工程は、多岐に渡ります。

 

まずは『骨師』がその骨組みを作ります。
続いて、それを覆う和紙『からかみ師』の登場です。
この和紙を貼るのが『表具師』『経師屋』。

その他にも、襖の縁に漆等を塗る『塗師屋』。
最後に『引手屋』さん。

ちなみに『引手屋』さんは、東日本に一軒しか存在していません。

 

以上の職人技が詰まった美しい襖のサンプルが展示されております。

 

 

 

伝統的な襖の作り方は、何重にも重ね貼りをします。
骨縛り、骨縛りベタ、蓑貼り、蓑押さえベタ、二遍袋(下袋)、二遍袋(上袋)。
それぞれに役割、意味があるようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『引き手』によっても、空間の品が異なってきます。
ウレタン塗装、銘木(楓、桜、タモ、桑、黒檀、竹)、銅、真鍮、漆、艶有・無。
丸、角、つまみ、取手。
豪華で格調高い書院好み、素朴な美意識の数寄屋好み、意匠性に富んだ桂離宮好み。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和紙の使い方は、襖だけではありません。
こちらは、東京松屋さんの4階屋上庭園に面した「和室アネックス」。
壁や天井にも和紙。調湿機能があって、華があって、とても良い雰囲気。
ただ貼ればよいということではなく、下地や貼り方、重ね貼りなどもポイント。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「床の間」の様子。

背面壁に和紙。泥引きという技法で、和紙に泥を塗っているそうです。
床框は金色の和紙。床板は物を置くので、耐久性の良い鉄板。

和紙と鉄板との相性も良い!
障子のデザインも美しい。