十和田石は、十和田湖の南部(秋田県)で採掘される凝灰岩。
水に濡れた時の青い輝きが美しく、保温性もあり、滑りにくいことから、
浴室の床材としてよく使われます。
温泉旅館の浴室で見かけることも多いかと思います。
採掘場には行ったことはありませんが、
上の写真は、十和田石を浴室の床に貼った事例。
神奈川県川崎市で手掛けた『中国黄土の家』です。
脱衣スペースと浴室は、テンパガラスによって仕切られ、浴室の向こうはバスコート。
脱衣スペースには、洗面・洗濯機・トイレが含まれており、
浴室、バスコートとが一つに繋がる連続した空間となっております。
一坪の浴室ですが、開放的な広がりを持った空間になっていると思います。
床は十和田石、天井はヒバ材で仕上げております。
壁材は、濃いグレーのタイルで仕上げ、
これら二つの材料を際立たせるとともに、落ち着いた雰囲気に仕上げました。
浴室をタイル仕上げとした場合、カビを気にされる方々が多いですが、
対策としては、風通しを良くすることが一番です。
風通しが悪ければ、どんな仕上げでもカビは発生します。
ただ、このように太陽の光も浴びれる設えならば、カビなんて心配にはなりませんね。
こちらは、群馬県前橋市で手掛けた『対岳荘』の浴室。
浴室の位置は、赤城山と前橋市街とが一望できる2階南東のベストスポットに配置。
大きな窓から光も沢山入るし、景色も最高です!
床は十和田石、天井はヒバ、テラス軒天は煤竹、
これらの素材を引き立たせるため、壁は真っ黒いタイル貼りとしました。
浴室のみならず、浴槽も特注製作です!
建主さんは『檜風呂』を希望されましたが、メンテナンスが・・・。
そこで檜は、浴槽の框と外部側板に用い、
浴槽内部は、浴室床材と同じ『十和田石』としました。一体感があります。
十和田石は、水に濡れると青く輝き、肌触りが良く、暖かみもあります。
写真右手の檜框の少し窪んだ箇所は、水のオーバーフロー部。
檜框は、入浴時に頭を置いたり、出入りする際の腰掛としての機能になります。
背もたれ部分は、もたれ易いようにナナメに。
浴槽への出入りは、高齢者が使うこともあるので、壁には手すりを設けてあります。
奥の段差は、出入りし易くするためのステップです。
『浴槽の深さ』や『背もたれの角度』による浸かり心地は。
『エプロン高さ』や『ステップの配慮』による入りやすさは。
『耐久性』や『メンテナンス』、などなどを検討したオリジナル。
『木と石』の自然の風合いを活かした浴槽。まさしく、自宅で愉しむ旅館のお風呂です。
朝は赤城山の雄姿を望みながら。夜は前橋市街の街灯りを望みながら。
ついつい、長湯してしまいそうです。