根來宏典建築研究所

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2009年5月1日(金)

十和田石


十和田石は、十和田湖の南部(秋田県)で採掘される凝灰岩。

水に濡れた時の青い輝きが美しく、保温性もあり、滑りにくいことから、
浴室の床材としてよく使われます。
温泉旅館の浴室で見かけることも多いかと思います。

採掘場には行ったことはありませんが、
上の写真は、十和田石を浴室の床に貼った事例。
神奈川県川崎市で手掛けた『中国黄土の家』です。

脱衣スペースと浴室は、テンパガラスによって仕切られ、浴室の向こうはバスコート。
脱衣スペースには、洗面・洗濯機・トイレが含まれており、
浴室、バスコートとが一つに繋がる連続した空間となっております。
一坪の浴室ですが、開放的な広がりを持った空間になっていると思います。

床は十和田石、天井はヒバ材で仕上げております。
壁材は、濃いグレーのタイルで仕上げ、
これら二つの材料を際立たせるとともに、落ち着いた雰囲気に仕上げました。

浴室をタイル仕上げとした場合、カビを気にされる方々が多いですが、
対策としては、風通しを良くすることが一番です。
風通しが悪ければ、どんな仕上げでもカビは発生します。
ただ、このように太陽の光も浴びれる設えならば、カビなんて心配にはなりませんね。

こちらは、群馬県前橋市で手掛けた『対岳荘』の浴室。
浴室の位置は、赤城山と前橋市街とが一望できる2階南東のベストスポットに配置。
大きな窓から光も沢山入るし、景色も最高です!

床は十和田石、天井はヒバ、テラス軒天は煤竹、
これらの素材を引き立たせるため、壁は真っ黒いタイル貼りとしました。
浴室のみならず、浴槽も特注製作です!

建主さんは『檜風呂』を希望されましたが、メンテナンスが・・・。
そこで檜は、浴槽の框と外部側板に用い、
浴槽内部は、浴室床材と同じ『十和田石』としました。一体感があります。
十和田石は、水に濡れると青く輝き、肌触りが良く、暖かみもあります。

写真右手の檜框の少し窪んだ箇所は、水のオーバーフロー部。
檜框は、入浴時に頭を置いたり、出入りする際の腰掛としての機能になります。
背もたれ部分は、もたれ易いようにナナメに。
浴槽への出入りは、高齢者が使うこともあるので、壁には手すりを設けてあります。
奥の段差は、出入りし易くするためのステップです。

『浴槽の深さ』や『背もたれの角度』による浸かり心地は。
『エプロン高さ』や『ステップの配慮』による入りやすさは。
『耐久性』や『メンテナンス』、などなどを検討したオリジナル。

『木と石』の自然の風合いを活かした浴槽。まさしく、自宅で愉しむ旅館のお風呂です。
朝は赤城山の雄姿を望みながら。夜は前橋市街の街灯りを望みながら。
ついつい、長湯してしまいそうです。

根來宏典